職場のメンタルヘルス・大阪労務管理事務所 職場のメンタルヘルス
うつ病等の精神障害で労災認定される件数が毎年増加しています。
安全、快適で風通しの良い職場作りがメンタルヘルスの面からも求められています。
生産性向上の面からも職場のメンタルヘルス対策は経営上も重要な問題です。
1.企業におけるメンタルヘルス対策の重要性
(1) 労働者を取り巻く状況
我が国経済社会は、経済活動の国際化、情報化の一層の進展、サービス経済化、ホワイトカラー化、非正規社員の雇用の増加、規制改革等による産業構造の変化が急速に進展しています。
このような経済情勢のなか、企業における能力主義、成果主義的な賃金・人事制度の導入及び派遣社員、パート社員、アルバイト等の非正規社員の雇用の増加により、人事労務管理の個別化が進んでいます。
労働時間も正社員に関しては、増加しており、一方、リストラにより正社員から派遣社員、パート社員等になり、労働時間が減少している労働者もいます。すなわち、労働時間は、長短の2極化に� �む方向にあります。
この様な雇用環境化で、仕事に関し、強いストレスや不安を感じている労働者は6割を超えるなど労働者への負荷は拡大する傾向にあります。
このため精神疾患で医療機関を受診している人の数は、全国で260万人もいます。(平成14年 厚生労働省調査)これは、国民全体で45人に一人の割合ですが、一般的には10人に一人は生涯のうちうつ病等の精神疾患にかかっているといわれています。うつ病はよく「心の風邪」と言われますが、それほど多くの人がかかる病なのです。
(2) うつ病と自殺
他の精神障害と異なり、うつ病の大きな特徴として、うつ病にかかると自殺する人が多いことがあげられます。ある日、突然、従業員が自殺するとその経済的損失、家 族、職場の仲間への影響とかなりのダメージが生じますので、自殺の兆候には注意が必要です。
ここで、最近の自殺の傾向を見てみます。
厚生労働省「人口動態調査」により年間自殺者数の推移を見ますと、最近30年間では、1986(昭和61)年に2万5千人を超える水準となった後、2万人から2万5千人の水準で推移していましたが、1998(平成10)年に3万人を超え、それ以降ほぼ横ばいとなり、高水準で推移しています。
最近の動向を見ますと、高齢化の影響もあり60歳以上層の占める割合が高止まっていること、厳しい経済・雇用情勢を反映してか50歳層の占める割合が上昇傾向で推移していること、男性の割合が上昇する傾向にあることが目立っています。
50歳代の男性の自殺者が多いのは、雇用環境が厳しくなっ� �ことや、リストラといったことを契機として大きな精神的ストレスが負荷されることとなり、結果としてうつ病などの精神疾患に罹り自殺に至っているものと推定されます。
(3) 精神障害と労災認定件数
うつ病などの精神障害は、職場での問題だけでなく、本人の生まれつきの性格、家庭での問題、うつ病以外に罹っている疾病問題等が原因で、うつ病を罹患すると言われています。
従業員の場合、1日のうち職場で過ごす時間も多く、職場での問題が主たる原因でうつ病に罹った場合やうつ病で自殺することも考えられます。いわゆる業務起因性があれば、うつ病も労災の認定を受けることが出来ます。
電通事件を契機として、精神障害での労災認定基準が定められ、労災申請件数、労災認定件数も年々増加しており、平成19年度では、精神障害に起因する労災請求件数は952件(前年比16%増)、労災認定件数268件(前年比30%増)となってい ます。
| 労災請求件数 | 労災認定件数 | 労災認定率 |
2007年度 | 952件 | 268件 | 28.2% |
2006年度 | 819件 | 205件 | 25.0% |
2005年度 | 656件 | 127件 | 19.4% |
(4) メンタルヘルス対策に関する国の姿勢
!doctype>